お金に困り、正規の消費者金融からも借りられず、最終的に「もう闇金しかない」と考えてしまう人は少なくない。
生活費がない。
家賃が払えない。
給料日まで食費が持たない。
急な支払いが発生した。
そんな土壇場まで追い込まれると、普段なら絶対に選ばないはずの闇金が選択肢に入ってくる。
しかし、本当に闇金からの借り入れだけは避けたほうがいい。
今回の記事では、単に「闇金は違法だから利用するな」と繰り返すつもりはない。
実際に人がお金に困ったときにどう考えるのか。借りた後にどんな心理変化が起こるのか。そして、どの時点から自転車操業へ入っていくのか。
闇金を利用する人の現実的な心理まで含めて、闇金に深入りしないためのガイドラインを考えていく。
最初に覚えておいてほしい|借りる前に感じた闇金への抵抗を忘れない
闇金へ申し込もうとしているとき、多くの人は多少なりとも怖さを感じているはずだ。
「本当に大丈夫なのか」
「個人情報を渡していいのか」
「あとで何かされないのか」
その感覚を忘れてはいけない。
闇金は、通常の貸金業者とは違う。
無登録営業や法外な金利が問題になる相手に、自分の氏名、住所、勤務先、電話番号、銀行口座、家族や知人の連絡先などを渡すことになる。
考えてほしい。
法律を守って営業しているわけではない相手に、自分や家族につながる個人情報を渡して本当に大丈夫なのか。
闇金の危険性は、高い利息だけではない。
個人情報を知られることそのものが大きなリスクなのである。
金融庁も、ヤミ金融について、過酷な取り立てや違法な高金利によって生活が破綻するおそれがあるとして、利用しないよう注意を呼びかけている。
どれだけお金に困っていたとしても、借りる前に感じていた「怖い」「怪しい」という感覚は捨ててはいけない。
闇金を探す前に、まず家族や友人へ本当に相談したのか
闇金を検索する前に、一度考えてほしい。
本当に周囲の人すべてに相談したのか。
家族、親族、友人。
「どうせ貸してくれない」
「迷惑をかけたくない」
「お金がないなんて恥ずかしくて言えない」
そう考え、相談する前から諦めている人もいるだろう。
しかし、実際に話してみなければ相手の答えは分からない。
お金そのものを貸してもらえなくても、別の解決方法を一緒に考えてくれる可能性もある。
多少恥をかくかもしれない。
怒られるかもしれない。
それでも、闇金へ個人情報を渡し、その後の生活まで危険にさらすことと比べれば、まず身近な人へ相談する価値は大きい。
闇金に申し込む前に、相談できる相手を本当にすべて当たったか。
これは最初のガイドラインにしていい。
「1社だけ」「すぐ返すから大丈夫」は危険な自己判断
闇金を利用する人は、自分なりの安全策を考えることがある。
「1社だけなら大丈夫」
「次の給料ですぐ返す」
「今回だけ借りる」
「短期間なら問題ない」
気持ちは分かる。
しかし、この考え方には大きな落とし穴がある。
重要なのは、返済日に返せるかどうかではない。
返済したあとに、次の収入まで借りずに生活できるかどうかである。
仮に給料日に闇金を完済できたとしても、返済によって手元のお金がほとんどなくなればどうなるのか。
家賃、食費、光熱費、携帯代、交通費。
次の給料日まで生活できなければ、数日後にまたお金が必要になる。
すると、
「この前も借りられたから、また借りればいい」
となる。
つまり、
完済できる=闇金から抜けられる
ではない。
本当に見るべきなのは、
完済後も闇金を使わず生活できるか
なのである。
闇金は「怖かった」のに、借りた後に抵抗感が薄れる
闇金の危険なところは、最初から恐ろしい態度を取ってくるとは限らないことである。
実際に借りてみると、
担当者が意外と優しい。
話を聞いてくれる。
申し込みから着金までが早い。
銀行や消費者金融では断られたのに、すぐ現金を用意してくれた。
すると、
「思っていたほど怖くない」
「普通の人じゃないか」
「困ったときは便利だ」
という心理変化が起きる。
ここが非常に危険だ。
借りる前まで持っていた闇金への抵抗感が薄れてしまう。
一度目の借り入れより二度目。
二度目より三度目。
利用するたびに心理的なハードルが下がっていく。
そしていつの間にか、
「お金が足りなければ闇金から借りればいい」
という考え方が生活の中に入り込んでしまう。
闇金に「助けてもらった」と感じる借り手の心理も無視できない
ここは、闇金問題を考えるうえで非常に重要だと思う。
闇金を利用する人の中には、人生でもかなり追い込まれた状況にいる人がいる。
所持金がなく、ご飯すら食べられない。
家賃が払えない。
生活そのものができない。
そんなとき、正規の金融機関では断られたにもかかわらず、実際に現金を貸したのが闇金だったというケースもある。
結果として、その日の食事ができた。
生活をつなぐことができた。
そうであれば借り手の側からすると、その瞬間に助けられたという事実はある。
だから、
「困っているときに貸してくれた」
「この借りは返したい」
「約束した以上、返さなければならない」
という人間的な感情が生まれる。
その感情自体を責める必要はない。
むしろ責任感の強い人ほど、そう考えるだろう。
ただし、一つだけ絶対に区別しなければならない。
「助けてもらったから返したい」という気持ちと、法外な利息や脅迫的な取り立てまで受け入れなければならないという話は別である。
法的にも、著しく高利なヤミ金融については、最高裁判決を踏まえ、業者側が元本の返還さえ請求できないケースがあると金融庁は説明している。
人間的な感情と法律上の権利は分けて考える必要がある。
一番危険なのは「闇金を返すために闇金から借りる」こと
ここからが大きな分岐点になる。
返済日が近づいた。
しかし、お金が足りない。
そこで、
「別の闇金から借りれば払える」
と考え始める。
これは赤信号だ。
まだ実際に2社目から借りていなくても、闇金への返済資金を別の闇金から用意しようと考えた時点で、自転車操業の入口に立っている。
1社目へ返済するため2社目から借りる。
今度は2社目への返済が発生する。
さらに3社目から借りる。
こうして借入先が増えていく。
最初は1社だったものが、2社、3社、5社と増えれば、最終的には複数の闇金から同時に返済を求められる状況になりかねない。
そこでようやく、
「もうどうにもならない」
と気付いても遅い。
闇金を返すために闇金を探し始めたら、その時点で止まる。
これを明確な赤信号にしたほうがいい。
「一本化してくれる闇金」を探し始めるのも同じ危険信号
返済が苦しくなると、別の考えも出てくる。
「全部まとめてくれる闇金はないか」
いわゆる一本化やおまとめをうたう業者を探し始める。
しかし、これも本質的には借金を借金で解決しようとしている。
返済に困ったとき、本来なら家族、友人、弁護士、司法書士などへ相談するべきところを、
「もう一度借りれば何とかなる」
という方向へ考えてしまうのである。
一度闇金の担当者が親切だった経験をしていると、専門家よりも闇金のほうを身近に感じてしまうことすらある。
これも闇金利用の怖いところだ。
なぜ弁護士や司法書士への相談が遅れるのか
借り手の中には、ブラックリストになっていること自体に引け目を感じている人もいる。
「普通の金融機関から借りられない自分が悪い」
「専門家に相談したら怒られるのではないか」
「こんな借金をしたことを知られたくない」
そんな気持ちから、弁護士や司法書士への相談より先に、新しい闇金を探してしまう場合がある。
しかし、多重債務やヤミ金融については、金融庁も弁護士会、司法書士会、法テラス、警察、消費生活センターなど複数の相談先を案内している。
ブラックリストだから相談してはいけないということはない。
むしろ、借入件数が増える前に相談したほうが選択肢は多い。
ギリギリの判断基準|給料日に清算できても、その先が見えないなら危険
「まだ返せるから大丈夫」
そう考えている人にも、一つ確認してほしい。
次の給料日に闇金を清算できたとして、
その後、次の給料日まで生活できるのか。
そして、すでに次回の支払いがあるなら、その支払いのめどは立っているのか。
給料日にいったん清算できても、
翌月の返済資金がない。
生活費も足りない。
また借りるしかない。
この状態なら、すでに危険域である。
気付くのは早ければ早いほどいい。
赤信号を感じたら、まず家族や友人へ正直に相談する
闇金への返済のために、また闇金から借りようとしている。
あるいは、
「次はもう払えないかもしれない」
と感じた。
この段階になったら、一人で解決しようとしないほうがいい。
まず信頼できる家族や友人へ相談する。
そして相談すると決めたなら、包み隠さず話したほうがいい。
「闇金に借金がある」
という事実を正直に伝える。
さらに、
借入先はいくつあるのか。
現在いくら残っているのか。
次の支払日はいつなのか。
いくら必要なのか。
分かっている範囲で正確に伝える。
ここで金額を少なく言ったり、別の借入を隠したりすると、あとで資金が足りなくなり、再び闇金へ戻る原因になる。
腹を割って話したほうがいい。
家族からお金を借りるなら「完済額」だけを計算してはいけない
ここも非常に重要だ。
たとえば闇金を清算するために10万円必要だったとする。
家族から10万円を用意してもらい、全部返済した。
一見すると問題は解決したように見える。
しかし、その結果として手元のお金がゼロになっていたらどうなるだろう。
明日からの食費。
通勤費。
携帯代。
家賃。
次の給料日まで生活するお金が必要になる。
そこでまた闇金から借りてしまったら、何も変わらない。
だから家族や友人へ相談するときには、
「闇金を清算するために必要なお金」+「次の収入まで生活するために必要なお金」
まで一緒に計算することが大切だ。
闇金への返済に意識を奪われると、その後の生活費を忘れてしまいやすい。
本当の意味で抜けるには、その翌日からの生活まで考えなければならない。
相談は段階的に考える。ただし一人で抱え込まない
現実のトラブル対応では、ただ法律論だけを振りかざせばすべて即座に終わるとは限らない。
闇金は、相手の身元や拠点が簡単には分からないケースもある。
だからこそ、感情的に相手を挑発したり、言い争ったりする必要もない。
目的は闇金を言い負かすことではない。
自分や家族への被害を増やさず、闇金との関係を終わらせることだ。
まず家族や友人など信頼できる人に相談する。
自分たちだけでは解決できない、返済が難しい、取り立てが始まりそうだという状況なら、弁護士や司法書士など専門家への相談を考える。
それでも問題が続く場合には警察への相談も選択肢になる。
金融庁も、ヤミ金融の相談先として警察、消費生活センター、弁護士会、司法書士会などを案内している。
なお、生命や身体への危険がある事件・事故は110番、緊急ではない警察相談については#9110が案内されている。
完済したら闇金との接点を完全に消す
闇金から抜けられたなら、
「念のため連絡先を残しておこう」
と考えてはいけない。
電話番号。
LINE。
Telegramなどの連絡手段。
サイトのブックマーク。
検索履歴から何度もアクセスしていたページ。
可能な限り接点をなくす。
「また困ったら連絡すればいい」
という逃げ道を残さないためである。
一度苦い経験をしている。
そのことを忘れず、
「闇金だけは二度と利用しない」
と自分の中で決めることが重要だ。
家族や友人に助けてもらったなら、次はその信頼を守る
家族や友人がお金を貸してくれたことで闇金から抜けられたなら、今度はその相手との信頼関係を大切にしたい。
「身内だから返済は遅れてもいい」
「友人だから待ってくれるだろう」
という甘えは避ける。
毎月決めた金額を返済する。
一般的なローンを返済するような感覚で、自分の中にルールを作ってもいい。
闇金から抜けるために助けてくれた相手との関係まで壊してしまっては意味がない。
返済そのもの以上に、
助けてくれた人との信頼関係を取り戻し、守っていくこと
を大切にしたい。
毎月お金が足りないなら「欲しいものを優先する生活」から変える
闇金を完済しただけでは、本当の問題が解決していない場合もある。
毎月給料が入っているのに、給料日前になると必ずお金がなくなる。
そういう状態なら、お金に対する考え方そのものを変える必要がある。
まず自分の収入を正確に把握する。
そして、
家賃。
光熱費。
食費。
通信費。
保険。
交通費。
返済。
毎月必ず出ていくお金を全部計算する。
残った範囲で生活する。
それでも足りないのであれば、生活水準を見直さなければならない。
特に重要なのは、収入以上の生活を維持しようとする欲を捨てることだ。
欲しいものを買って、余ったら貯金する。
この考え方ではなく、
まず生活費を確保する。
少額でも貯める。
残った金額で欲しいものを考える。
老後や将来も含めて、お金を残すという考え方へ変えていく。
闇金から抜けることを、一度自分のお金の使い方を見直すきっかけにしてほしい。
急な出費が発生したら、闇金を検索する前に公的制度を調べる
次に急な出費が発生したときも、
「闇金なら今日貸してくれる」
と考えてはいけない。
その瞬間に、公的な制度や相談窓口を調べる。
たとえば、生活福祉資金貸付制度では、一定の要件を満たす低所得世帯などを対象として、必要な相談と資金の貸付を行っている。緊急小口資金を含め、資金の種類によって条件や対象が異なり、審査もあるため「誰でも即日借りられる制度」ではないが、闇金へ申し込む前に確認する価値はある。
また、金融庁は全国の財務局に多重債務相談窓口を設けており、法テラスなどの相談先も案内している。
公的制度は闇金ほど早く現金が手に入らないこともある。
だからこそ、
「本当にお金がなくなってから」ではなく、足りなくなりそうだと気付いた段階で動くこと
が重要なのである。
闇金利用のガイドライン|覚えておいてほしい10項目
最後に今回の内容をまとめる。
- 闇金へ申し込まないことが最善である。
- 借りる前に感じた「怖い」「怪しい」という警戒心を忘れない。
- 闇金を探す前に、家族や友人へ本当に相談したのか確認する。
- 「1社だけ」「今回だけ」「給料日に返せるから大丈夫」と考えない。
- 返済できるかではなく、返済後も次の収入まで生活できるかを見る。
- 担当者が優しい、着金が早いという理由で闇金への警戒心を解かない。
- 闇金への返済資金を別の闇金から借りようと考えたら赤信号。
- 赤信号を感じたら、一人で抱え込まず家族や友人へ借入状況を正直に話す。
- 清算するなら、その後の生活費まで含めて立て直す。
- 抜けたあとは闇金との連絡手段を断ち、お金の使い方そのものを見直す。
結論|闇金から抜けるために一番大切なのは「早く気付くこと」
闇金問題は、突然何十社もの借金を抱えるところから始まるわけではない。
最初はたった一度の借り入れである。
「今回だけ」
「すぐ返す」
「担当者も優しかった」
「また困ったら借りればいい」
その積み重ねによって、少しずつ闇金に対する抵抗感がなくなる。
そして、
闇金を返すために闇金から借りる。
ここまで来ると自転車操業が始まる。
だから、早く気付くに越したことはない。
申し込み前に止まれれば、それが一番いい。
すでに借りてしまったのであれば、さらに借りて関係を深くしない。
そして、
「次の支払いは厳しい」
「別の闇金から借りないと払えない」
そう思った瞬間を赤信号にしてほしい。
闇金との関係を長く続けることが目的ではない。
闇金を言い負かすことも目的ではない。
被害を広げず、自分の生活を立て直し、二度と闇金を必要としない状態まで戻る。
そこが、本当のゴールである。





