利用していた闇金が逮捕された。
この事実を知ったとき、利用者が真っ先に考えるのは、
「これで払わなくて済む」
「今まで払った金が返ってくる」
ということではないと思います。
最初に出てくるのは、驚きと不安です。
「本当に逮捕されたのか?」
「自分の名前も警察に把握されているのでは?」
「逮捕されたのは担当者だけなのか?」
「別の人間から取り立てが来ないか?」
実際に闇金を利用していた側からすると、逮捕されたというニュースだけで、すぐに安心できるわけではありません。
今回は、**「闇金 逮捕 返金」**をテーマに、闇金が逮捕された場合に、これまで支払ったお金が返ってくる可能性はあるのか、利用者側の心理も含めて考えていきます。
闇金が逮捕されても最初に考えるのは「返金」ではない
外から見れば、
「闇金が逮捕されたなら、もう返済しなくていいのだから安心では?」
と思うかもしれません。
しかし、実際に利用していた人間の感覚は少し違います。
逮捕の事実を知った直後は、返金よりも、
「この取り立ては本当に終わったのか?」
ということのほうが気になります。
特に、何人もの担当者がいるような闇金だった場合です。
電話を担当する人間、LINEを担当する人間、振込口座を管理する人間など、複数人で動いているように見えていたのであれば、「逮捕されたのは一部だけではないのか」と考えるでしょう。
今日連絡がなくても、数日後に別の番号から、
「担当が変わったので、今後はこちらに返してください」
と連絡が来るかもしれない。
利用者側からすれば、その可能性を簡単には捨てきれません。
そのため、闇金の逮捕と利用者が感じる安心には時間差があるのです。
警察から直接連絡が来れば少し安心できる
ニュースで逮捕を知る場合と、警察から直接連絡を受ける場合でも心理は変わります。
警察から、
「あなたが利用していた業者を逮捕しました」
と連絡があれば、利用者としては少し安心できます。
ただし、それでも気になるのは、
「組織全体が摘発されたのか」
という部分でしょう。
関係者が一斉に逮捕され、取り立てを行う人間もいなくなったと分かれば、そこでようやく、
「もう支払わなくても大丈夫なのではないか」
「そういえば、これまで払ったお金はどうなるんだ?」
と考える余裕が出てきます。
逆に一部の人間しか逮捕されていないのであれば、返金どころではありません。
まだ支払いについて悩み、別の担当者から連絡が来ることを恐れながら生活する可能性もあります。
闇金が逮捕されたら、それまで払った金は返ってくる?
結論からいえば、返ってくる可能性はあります。
しかし、
「闇金が逮捕された=自動的に全額返金」
ではありません。
ここは重要です。
闇金への振込みに使われていた犯罪利用口座にお金が残っている場合、「振り込め詐欺救済法」に基づく被害回復分配金を受けられる可能性があります。
金融庁も、ヤミ金融について、預金口座等への振込みが利用された場合は同制度の対象になり得ると案内しています。
つまり、逮捕そのものがお金を生み出すわけではありません。
回収・凍結できる資金が残っているかどうかが非常に重要になります。
闇金側に金が残っていなければ返金は難しい
利用者から見ても分かりやすいケースです。
逮捕された闇金に資産がほとんど残っていない。
振込口座からすでに金が引き出されている。
こうした場合、
「返金したくても、その金がないのだから戻ってこないだろう」
と考えるでしょう。
実際、振り込め詐欺救済法による被害回復も、犯罪利用口座に残っている資金が原資になります。
金融庁も、犯人が口座からお金を引き出してしまった場合には、その制度による支払いを受けられないと説明しています。
そのため、
逮捕されたかどうかと、返金できるかどうかは別問題
として考える必要があります。
凍結口座に100万円あったら被害者で均等割り?
ここは利用者が勘違いしやすいところです。
たとえば闇金が使っていた口座が凍結され、中に100万円残っていたとします。
利用者としては、
「被害者が10人なら10万円ずつ返ってくるのでは?」
と考えるかもしれません。
しかし、必ずしも単純な均等割りではありません。
金融庁によると、振り込め詐欺救済法による分配では、口座に残っている資金を被害額に応じて分配する仕組みになっています。そのため、口座残高が被害総額より少なければ、全員が満額を取り戻せるとは限りません。
利用者から見れば結果的に、
「かなり払ったのに戻ったのは一部だけだった」
ということも十分考えられます。
利用者は「払い過ぎた分だけ戻る」と考えやすい
実際に闇金を利用した人間の感覚では、
「借りた金まで返してもらえる」
とは考えにくいと思います。
たとえば3万円を借り、最終的に8万円払っていたとしましょう。
利用者としては、
「3万円は実際に借りた金だから仕方ない。余計に払った5万円が返ってくるのではないか」
と考えるほうが自然です。
しかし、法律上は必ずしもそう単純ではありません。
2008年6月10日の最高裁判決では、著しく高利で貸付けを行ったヤミ金融について、貸付元本が不法原因給付に当たり、業者側から元本の返還を請求できず、さらに被害者が支払った元本・利息を含む全額を損害として請求できるとの判断が示されています。
ただし金融庁も、この判決は著しく高利な貸付けについての判断であり、具体的な事情によって結論が異なり得ることを示しています。
したがって、
「借りた元金を差し引いた残りだけが必ず返金対象になる」
と決めつけることはできません。
自分から警察に「返金してください」と言える人は少ない
ここには闇金利用者特有の心理があります。
闇金を利用していた人には少なからず、
「自分から違法な業者を利用してしまった」
という後ろめたさがあります。
そのため、逮捕した警察から連絡があったとしても、
「ところで今まで払ったお金は返してもらえるんですか?」
とは、なかなか聞きづらいものです。
警察から返金や被害回復について説明されれば素直に応じる。
しかし、自分から返金の話を持ち出すのはためらう。
そういう利用者は多いのではないでしょうか。
ただし「警察から連絡が来るまで待つ」はおすすめできない
利用者心理としては待ちたくなるところですが、制度上は注意が必要です。
振り込め詐欺救済法による被害回復分配金を受け取るためには、原則として振込先の金融機関へ申請する必要があります。
金融庁は、被害に遭った場合には警察だけでなく、振込先の金融機関にも連絡するよう案内しています。
つまり、
「警察が全部調べてくれて、そのうち勝手に口座へ返金される」
と考えて何もしないのは危険です。
自分が利用していた闇金が摘発されたと知り、過去にその業者へ銀行振込をしていたのであれば、警察や振込先金融機関に確認する意味があります。
LINEや振込履歴は消さないほうがいい
闇金とのやり取りは、意外と残している人が多いと思います。
LINE、SMS、着信履歴、振込履歴、振込先口座、担当者から提示された返済条件などです。
利用している最中は、
「何かあったときのために」
という気持ちから残している人もいるでしょう。
これは返金を考えるときにも重要になります。
自分が、
- いつ借りたのか
- 実際にいくら受け取ったのか
- どの口座へいくら振り込んだのか
- 何回支払ったのか
- どのような返済条件だったのか
を整理する材料になるからです。
「逮捕されたからもう終わった」
と考えてLINEや振込記録を急いで削除する必要はありません。
少なくとも問題が完全に解決するまでは、記録として残しておいたほうがいいでしょう。
少額の返金でも利用者は不満を持ちにくい
仮に50万円支払っていた人に、返ってきたのが数万円だったとします。
外から見れば、
「それだけしか返ってこないの?」
と思うかもしれません。
しかし、実際に取り立てや返済に追われていた利用者の心理は少し違います。
闇金の逮捕によって、毎週の支払いを考えなくてよくなった。
電話に怯えなくてよくなった。
会社や家族へ連絡される心配も小さくなった。
それだけでも非常に大きい。
そこに数万円でも返金が加われば、
「これ以上払わなくて済んだうえに、お金まで少し戻った」
という受け止め方になるでしょう。
闇金利用者にとって、返金額そのものよりも、まず支払いと取り立てから解放されることのほうが大きいのです。
「逮捕されたから返済不要」とだけ考えるのも危険
もう一つ整理しておきたいのが、逮捕と返済義務の関係です。
闇金の担当者が逮捕されたという事実だけで、すべてのケースについて機械的に返済義務が判断されるわけではありません。
一方、最高裁は著しく高利なヤミ金融について、元本についても業者へ返還する義務がないとする判断を示しています。
そのため、
「逮捕された担当者の代わりだ」
などと別の人間から突然支払いを要求されたからといって、言われるまま振り込むべきではありません。
闇金については、日本貸金業協会も警察相談専用電話「#9110」への相談を案内しています。
闇金逮捕後の返金は「ある可能性はある。でも満額とは限らない」
今回の話をまとめると、
闇金が逮捕された場合、それまで支払ったお金が返ってくる可能性はあります。
しかし、
「逮捕されたから必ず返金」
「払った金が自動的に全額戻る」
「凍結された口座を被害者全員で均等割り」
というわけではありません。
犯罪利用口座にどの程度のお金が残っているのか。
自分がどの程度の被害を受けているのか。
どの制度・手続きが利用できるのか。
こうした事情によって実際の返金額は変わります。
そして、闇金を利用していた人の心理を考えると、逮捕直後から返金を期待する人は意外と少ないでしょう。
最初に考えるのは、
「本当に取り立ては終わったのか」
ということです。
警察による摘発で安全が確認でき、返済への恐怖がなくなって初めて、
「そういえば、今まで払った金は戻ってくるのだろうか?」
という疑問が出てくる。
これが、実際に闇金を利用していた側から見た「逮捕と返金」のリアルではないでしょうか。
そして返金の可能性を知りたいのであれば、後ろめたさから黙って待つだけではなく、振込履歴やLINEなどの記録を残したうえで、警察や振込先の金融機関に確認することが重要です。





